nøgle~オススメ書籍 2021.9~


“nøgle(ノイレ)”は“鍵”という意味のあるデンマーク語です。

このページでは、森のようちえん関連、自然保育やウィズ・ナチュラのエッセンスを感じていただけるようなオススメ書籍をご紹介します。


2021年度2学期にご紹介するおすすめ書籍

2021.9.7 「教えから学びへ」汐見稔幸 著

2021.10.6 「多様性」池田憲昭 著

2021.11.5. 「子どもの頃から哲学者」 苫野一徳 著

2021.12.4.「ようちえん」はじめました! 葭田 あきこ 著  

 

 


射手座新月のオススメ図書

2021.12.4.

 

心は外に向け、自分を楽しませるために

積極的に行動するチャンスの射手座新月に

Nancyがオススメする書籍は…

 

「ようちえん」はじめました!

お母さんたちがつくった「花の森こども園」の物語

著者 葭田 あきこ  出版社 新評論

私が初めて花の森こども園のことを知ったのは新聞記事でした。2021年(令和3年)7月7日の読売新聞のSDGsのページに載った記事を実家の母が送ってくれたのです。私自身が埼玉県で育ち、花の森こども園のある秩父(ちちぶ)という地名も身近でしたので非常に興味をそそられました。

 

新聞記事はこちら↓

https://kyoiku.yomiuri.co.jp/sdgs/specialist/contents/post-688.php

そして秋に出会ったこの本。いきなりあとがきから紹介してしまいますが「素人が始めた取り組みでこそ、甘んじることなく、最高の理念と実践を完璧に提供する必要があった」と述べるほどに、2008年に一からようちえんをつくり、今まで10年以上続けてきた著者の強い志と実践を誠に流暢な日本語で綴っています。

ようちえんをつくり、運営していく苦労話はもちろんのこと、こどもたちの内面を見つめた丁寧な保育の様子も語られ、そして何より私が感嘆したのはその場に集う人々の多様性。就労訓練中の若者を週2日、4年間花の森で受け入れたり、家庭環境の複雑な中学生は朝家まで迎えに行き、花の森でこどもたちと一緒に過ごしてから学校へ行ったり。時に校長や教頭と話し合い、学校の支援員と連携をとっていく。2011年から不登校、ニート、引きこもりの若者支援もNPO事業の一つとして行なっており、花の森と同じフィールド内で活動し、こどもたちとの関わりも大事にしています。

更に2013年には多世代交流カフェまで開店してしまう。園のフィールドを抜け出し、若者にとって安心な居場所であると共に外の世界と繋げていく。園の運動会の用具係や親の会主催の秋祭りなど、あなたがいなくては困ることを伝えていく。ようちえんの保育担当者(クルー)の他にも地域の様々な職人さんや自由な生き方をしている幸福度の高い人々がいつも園の中にいる。人も環境の一つである、という人の中で育つことの大切さを正に実践しているところに衝撃を受けると共に、これが正常な(?)社会の在り方だなあとも思うのでした。やっぱり多様な人との出会いが一番の豊かさだなあと。

別の本ですが、「ルポ森のようちえん」(おおたとしまさ著 集英社新書)の中にも花の森こども園が登場します。表紙を飾っているのも花の森こども園です。ぜひ合わせてお読みください。

〜管理人の呟き〜

言葉では捉えにくい感覚が

自然の中だとすっと体に入ってくる時がある

多種多様な生命に触れて

私が揺さぶられる。

色んな境界が溶けて、混ざって、

私のぼやけた視界に

現れてくるものに心奪われる。

そこにあるのは空っぽの無ではなく、

あるけど捉えられない

心のような空。。。

 


蠍座新月のオススメ図書

2021.11.5.

探究心の強さや勘の鋭さがキーワードの蠍座新月。すぐに答えを決めてしまうのではなく、少し立ち止まって想像してみたいこの日にオススメする書籍は…

 

子どもの頃から哲学者

世界一おもしろい、哲学を使った「絶望からの脱出」!

著者 苫野一徳 出版社 大和書房

全国森のようちえん全国フォーラムプレ講演をして頂いた時に、初めて苫野さんの考え方に触れたことで、苫野さんの哲学者としての話しが自分に重なり、もっと知りたい!っと興味が湧き、こちらの本を知りこれはめっちゃおもしろそう、自分が知りたい何か新しいものが見つかりそう!と思い、即座に購入しました。

私自身の経験と少し重なる部分があることから興味があって読み出しましたが、想像していた以上の人生経験が描かれていてこんな方と自分が重なると思ったこと自体恥ずかしいなと思いました。それはそれはすごい内容です。
これはぜひ読んでほしいです!おすすめです!

 

ご自身の精神をここまで曝け出せることや、
経験内容もめちゃくちゃすごくて、膨大な時間をかけて得られた教養を読者に分かりやすく、哲学者としてではなく、哲学者も同じ人間だという視点で書いてくださっていることも、ご自身の欲を読者に押し付けていなくて、なんて相手の幸せを考えてくださっている方なんだろうと、頭が下がる想いでした。

これからの時代、私達が困難な問題が起こった時に少しでも生きやすく、力強く生きていけるように書かれた言葉や、
苫野さんが自分の経験から得たことを私が素直に恩恵や知恵として真摯に受け取り、書かれている事実を認めることがまず大切だと思いました。
内容のキーワードとしては
「欲望」「承認」「絶望」「自由」「躁鬱」「本質」などなど私の大好きなワードが幅広く語られていて、苫野さん本人の幼少期から成人になるまでの様々なずば抜けた意識、感情、思考やそこからの失敗談や絶望からの躁鬱経験から得た自己の捉え方、考え方と歴史に残る著名な哲学者から得た膨大な知識、教養、解き明かした真理を織り交ぜて、哲学を切口に人間の在り方を解説されているようなイメージです。

私はこの本から、自分のこれまでの経験で
「なんであんなことを自分はしたんだろう」と答えがはっきりとしなかったことなどがあったのですが、自分なりの答えが得られたような気がしてます。

そして、自分がこれまでやってきた理解できない苦しみは、「私だけが苦しい」という独りよがりだったこと、そして恥ずかしいくらい自分に溺れ自意識過剰な時期が、とても大事だったということがぼんやりと分かりました。
こういう恥ずかしい時期が人間には必要な気がします。その時は何やってるのか分からない事でも後から色々見えてくることを示してくれています。
周りにどう思われるかを心配せずに、今、自分が探求したいことにどっぷりはまってしまうことを大人になってもやりたいと思いました。


そして失敗した方がいいし、大失敗して絶望的になるようなことがあっても、そこには沢山の宝の山があるように今は思えます。自分の底にある芯を見に行く旅に出かけたくなりました。


最後に私の感じたことをまとめると、
先人の知恵をとことん利用して、それを支えに私達は何か新しいことへチャレンジし、大失敗して、また次の世代へとこの経験を伝えていく、それが私達の進化であり、人の役目なんだと行きつき感じてます。


全部自分のために遠慮なく使わせてもらおうと、心が熱くなる今です!

年長児保護者さっち〜

 

〜管理人の呟き〜

哲学は徹底的に考え抜かれた、

力強い“考え方”を提示する。。。

そう、哲学は答えを教えてくれるのではなく、

ある考え方を「こんなのはどう?」と

提示してくれている。

自分の中に芽生えた「知りたい」を

探究するものは皆、

子どもでも大人でも哲学者であり、

そして人間くさい。
つまり、愛に溢れたヒトなのだ。


天秤座新月のオススメ図書

2021.10.6

バランスを保ち継続を促してくれる

天秤座の新月に管理人クーチェが

オススメする書籍は。。。

『多様性 人と森のサスティナブルな関係』  池田憲昭 著
『多様性 人と森のサスティナブルな関係』 池田憲昭 著

《多様性》をキーワードに、「森づくり」から「地域木材クラスター」「モノづくりと人づくり」「森のレジャー」「森の幼稚園」さらには最新の脳神経生物学に基づいた「文明論」まで、ドイツで森林環境学を学んだ著者が過去25年の間で経験したことを軸に、森という多機能な存在を、全方位から多面的にわかりやすく論じており、読み進めるごとに日本の森の可能性にわくわくしてきます。
自然の仕組みに関するより深い、よりホリスティックな科学的認識を元に、日本の林業から森林業への跳躍を示唆する著者は多方面への気配りの必要性を「気くばり森林業」と題し、提唱。《多様性》に魅了されてきた著者の経験や思いがベースにあるエッセイでもあります。

森を通じ、SDGsのいうところの不可分性(互いに関連しあいながら、総合的に取り組むことが大切であること)を感じ取ることができ、300年前ドイツの森でカルロヴィッツによって生み出された「サステナビリティ」という言葉と概念に関する丁寧な考察が、この本にはあります。
SDGsのいう「誰一人取り残さない」世界に向き合うには、自然界(人間界も含む)における「多様性」への理解が欠かせない。
まず、著者自身のために、次に、子供たちの未来のために綴られた言葉の数々は「森の国」ドイツから「森林大国」日本の未来へ贈る、多様性のメロディです。
森の声に耳を傾けて、人々の暮らしのリズムと織りなされ生み出されるハーモニーは「生」をもたらす。持続可能なソリューション(解決法)はヒューマニティー(人間性)から生まれると著者。

「自然と共に、主体的に、みんなで協力し、豊かな未来を創造したい」
地球上で人間が生きる道は協力によって進む事ができるとし、人としての尊厳を互いに尊重し、誰もが喜びと希望を持って一緒に関わることのできる「主体」としての「森」と「人」の可能性をメロディアスに綴った本書。
誰もが、種の垣根を超えた生命と向き合い、次世代を想い、自分らしく、心地よく、豊かに暮らせる世界。
著者は、大事なのは一つ一つの技術や制度ではなくて、その全体の多様な関係性だと論じています。その関係性を見つけ繋げ合う視点や考え方の転換がないといけないといいます。
《多様性》簡単ではないけれど、とても大切なことを受け入れ愛する事で、この地球を未来へとつなぐ事が出来たら素敵だと思いませんか。

〜管理人の呟き〜

 

「樹木たちは
恥も外聞もなく躊躇せず、
みんなのために自分の弱みをさらけ出す」
この美しい星に生まれた幸運と責任を
感じずにはいられない。。。


乙女座新月のオススメ図書

2021.9.7

自分を見つめ直し、肩の力を抜いて、

自分らしくペースを整えるにふさわしい

乙女座の新月にりえぽんが

オススメする書籍は。。。

教えから学びへ
教育にとって一番大切なこと
汐見稔幸 著
河出新書

タイトルを読んで、学校教育の変容について述べる内容とは想像がついたのですが、教育者であるかどうかに関わらず「なぜ人は学ぶのか?」「自分はどう生きるのか?」という本質的で有意義な問いを受け取りました。

近年教育に関わる人たちの関心が「どう教えるか」から「子どもたちが何を学ぶのか」へ移行してきている理由として「これさえ覚えておけば正しく生き、いい社会をつくる力を身につけることができる」と確信を持てるものがなくなった、つまり、教師が子どもたちに啓蒙する教育の時代が終わったと記されています。

「正解」のない時代の教師と学校の役割は、「正解」を早く導き出す力としての「学力」を教え込むのではなく

「子どもたちの学びをどう育てるのか」とならざるを得ない。そして、いまを生きるすべての人に大事な力は、これまで正解とされていたことでさえ「本当にそうなのか?」と問い直し、自分なりに考え、自分なりの解を導き出す力であると著者は述べています。

そして、『なぜ人は学ぶのか?』という問いについて、著者である汐見先生はいまのところの下記の答えに行きついたとのこと。

 

・「自分の自己実現(自分が心の深いところで本当に「やりたい」と思うことを実現すること)」のため、自分が「何をしているときに生き生きとするか」を見つけるために学ぶ。

・「社会の自己実現(社会が、その構成員をできるだけ多く幸せにできるようになっていくこと)」のため、「どうすればみんながいい顔をして生きていける社会にできるか」を見つけるために学ぶ。

・「そこに自分がどう関わることができるか」を見つけるために学ぶ。 

私はこれを読んだときに、「その通りだ!」と同時に「え、それでいいの?」という気持ちが出てきました。

やはりまだどこかに、「知識や学力をつけるために学ばなくてはならないのでは」という固定観念や、「知識や学力をつけておくと幸福につながる」という幻想がまだ残っているのだと気づきました。

そもそも、自分や身の回りの人が幸福でありたいために学ぶのに、知識をつけるために学ぶというのは手段が目的となっておりおかしな話。 

学ぶということの本質をもっと見つめて、特に大人が議論を交わしていくことが大事だと痛感しました。

現状の学校を上手に軌道修正していくためには、教育現場や社会が「こうすればみんなが幸せになる」という目標を示し、子どもたちと一緒に学ぶ姿勢になる必要がある。

そうなったときに再び、「学校っていいものだなぁ」と誰もが感じられるようになり、学校は信頼を取り戻すことができるはずである。

 

そして子どもを「一緒に生きていく対等なパートナー」とみることで、その関係性は大きく変わっていくはずだ、と著者は語っています。

 

 さらには、子どもに関わる大人たちに求められるのは、「人間って深いし、面白い」ということを見出す力。

学校の勉強ができるできないという評価から離れ、「この子はどんな人生を送るのかな」「原石のようなこの子どもたちが、それぞれどんな宝石になるのかな」

という視点から子どもを見ることができれば、子どもたちへの接し方も自ずと変わってくるはずである、と強く語られています。

子どもを見る視点を変えること。単純ですが、人によっては非常に難しいことかもしれない。

けれどこれからを生きる私たちが幸せになるポイントはそににあると信じ動き出すときなのだと、

この著書を読んで勇気がわいてきます。

幼児教育・小学校教育・社会・・・そういった分類でものごとをみるのではなく、包括的に本質的に「生きる」ということ「幸せ」ということについて、自然の中で五感で感じながら、各々に深めていくこと。
森のようちえんで取り組んでいることは、そのまま、未来を創り出していることなんだな・・・とこの本を読んで再認識しました。
「生きているっていいな」。みんながそう感じられる社会となるために。
自分には、何ができるかな?

年中児保護者 りえぽん

〜管理人の呟き〜

変容こそが学びである、とTimは言う

自分の殻を脱ぎ捨て

あらゆる可能性に向けて「わたし」を開き

繋がることでお互いを変容させていく、と

大丈夫、私たちはずっと

変わり続けてきたのだから

 。。。


2021年4月~8月 オススメ書籍

「ティール時代」の子育ての秘密 あなたが輝き、子どももより輝くための12章 天外伺朗著

「ママのためのシュタイナー教育入門」ドーリス・シューラー 著、鳥山雅代訳

「デンマークの親は子どもを褒めない」ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーベン・ディシング・サンダール著、鹿田 昌美訳

「シェアリングネイチャー自然の喜びをわかちあおう」ジョセフ・コーネル著

「やさしさ」の教育 センス・オブ・ワンダーを子どもたちに 露木和男著 


2020.9.17~2021.03.13 オススメ書籍

「あしのうらのはなし」やぎゅうげんいちろう作

「0歳からの足育(あしいく)のすすめ」玉島麻理・小野直洋・高山かおる著、武藤芳照監修

「こどもキッチン、はじまります」石井由紀子著

「一汁一菜でよいという提案」土井善晴著

「みんなのちきゅうカタログ」監修 ソーヤー海/絵 川村若菜/文 福岡梓

「北欧の森のようちえん」リッケ・ローゼングレン著 

ヴィンスルー美智子/村上進 訳

「非認知能力の育て方-心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育」ボーク重子著

「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著

「常識を変える!親子で伸ばす自然な子育て」岡本麻友子著


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