· 

何度もこぼれ、何度もむすぶ

朝のいちごとかりんとは別に滝のおうちに集合し、そそくさと身支度をする新ばらのみんな。ウキウキがダダ漏れの様子。
年長から編入して来たMちゃんはおむすびの会自体が初体験。初めはママと一緒にモジモジ参加。
ばらだけで朝の会をして、『おむすびの会』のはじまり、はじまり

お米を見ながら、このお米が何処で誰の手によって作られたものなのかお話を聞く。
まるで初めてお米を見たかのように興味津々で前のめりになってる
自分のボールと計量カップを準備して、お米を計りボールに移す。普段何気なくやっている工程を目の前の子どもたちは大切に慎重に、全集中を向けて行なっている。
「お米の一粒一粒には神様がいるんだよ」
神様を落とさないように、こぼさないように、優しく丁寧に触っては、小さな掌に乗せて匂いを嗅ぐ。「お米の匂いがする!」「食べたい!」と口々に言い、一粒口に入れてみる。
ガリっ。コリコリ。じっくり味わう。
テーブルにお米がぽろりと落ちた瞬間、「落ちた!」気づいてはボールに戻す。
水を入れお米を洗う時もその優しさは変わらず、そっと、ゆっくり、ね。「気持ちよさそう〜!」お米の気持ちになってみる。

一つ一つの工程をはなちゃんが丁寧に促してくれる。こうしたらダメとか否定の言葉は無くて、こうしたらこうなるよ〜とこれまでのばらの失敗談や成功例を話しながら伝えてくれる。
大人はつい言葉に引っ張られがちだけど、伝えるにはタイミングや空間も大事な要素。
お米の味がまだ口に残りながら伝わっていく言葉。体にすっと、なんの障害もなく染み入っていくよう。

今日はそれぞれ洗ったお米をひとつのお鍋に合わせて入れて炊いて、みんなで分け合っていただく日。コンロの火をつけてみんなで眺める。
炎の色。お鍋からの音。部屋の外の様子も気になりつつもお鍋に集中。途中ボールからこぼれ落ちていたお米もお鍋に一粒残らず加えて待つ。

ぐつぐつしてきたかな?してきたーーー‼︎
鍋の中身が沸騰することにこれほどまでの歓喜と興奮が湧き上がる

トロ火にしてタイマーセット。
待ってる間は絵本タイム。
ピピピピッ!
みんなの注意が一斉にタイマーの音に向かう。蓋の中からあがる湯気に、また歓喜の声。もう、待ちきれない!

そして、ご飯を蒸す間におむすびの準備。
まな板を出して、ボールに手水を入れる。
はなちゃんが見せてくれたのは奄美の塩と沖縄の塩。それぞれ味見して気に入った方を小皿にもらう。
「僕はこっちが甘くて美味しい!」「私はこっちが甘くて好き!」
どちらかを否定するのではなく、それぞれの好みを知っていく。
全ての工程に、ここに集う皆の事を知っていくプロセスが存在し、みんなそれを自然と受け取っている。

そして、むすぶ。目の前の炊き立てごはんに手が伸びる。手に付いたーーーと言っては、パクリ、パクリと味見する。
そして間髪入れずにおむすびを頬張る。

「頬張る」って言葉はこの光景を見てできた言葉なんじゃないだろうかと思うくらい、見事な頬張りを見せる新ばらのみんな。
夢中で食べる。そしてまたむすぶ。

「もっと食べたい」と思うのはただ単に美味しいだからだけではないんだと思い知る。
そこにかけた想い。それを感じながらいただくから、心も体も喜ぶごはんになるんだ!

かにざわめく「おむすびの会」のはじまりでした。

 

年長児保護者 クーチェ


森のようちえんウィズ・ナチュラ季刊誌サステナme協賛企業様