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森のおみせやさん、オープン!

年長の息子は初めから年少組のSと一緒にかばんやさんをしたいと言っていて、はて、彼らしくないな…本当にしたいのかな…そのうち別の物を作りたいと言い出すのだろうな…そもそも縫い物したことないし、向いてないやろ。と勝手に思っていました。
でも仲間(S)と一緒にやりたい。という気持ちが大きく、何を作るかより、誰と作るかが彼にとっては大切だったのかな。

布をくれ、針を使わせろと言うものの、私とはやらない。Sとやりたい。
でもSと一緒にやると遊んでしまう。
Sはすぐに遊びたくなるから…
でもかばん屋さんをしたい。10個作りたい。一貫して言うものの全く手をつける気配はなく。
なかなか前に進まないまま時間は流れ、お店屋さんの2日前の本番の練習の日を迎えました。

その日帰ってくると、明日はようちえんに行かない。休んでかばんを作る。と言い出しました。
今まで散々時間はあったし、それでもしなかった間の私のモヤモヤイライラも積み重なっていて(母は気になって仕方なかった)、明日休むのは納得いかないと伝え、とりあえず1つかばんを完成させようと話し、それは息子も完成させたい想いがあったので納得。
その日は夜寝る時間が過ぎても頑張ってようやく1つ目のかばんが出来あがりました。
途中まで作っていたものを納得いかずに何度も糸を解きながら…その間隣でおかんにギーギーギャーギャー言われながらやっとのことで。
プロセスが大事!プロセスプロセスと心の中で唱えながら、気づけば結果に意識が向いてしまう私は、彼のここに到るまでの心の動きや、失敗しても諦めない我慢強さとかよりも、かばんの完成度なんてものを気にしてイライラしながら見ていました。

でもその夜仲間のお母さんが、息子がようちえんでスタッフさんや他のお母さん達に助けを求めて一緒に少しずつ少しずつ、本当に少しずつかばん作りをしていたことを教えてくれて…
あれ、そうなん?全然知らんかった!!
ごめん!!!むちゃくちゃ自分なりのプロセス踏んでたんやんと恥ずかしくなりました。
全然見えてなかったです。

皆んなに助けを求めて、たくさん気にかけてもらいながら完成したかばんは、見た目はむちゃくちゃなんだけど、たくさんの愛が詰まっていて、本当に世界一のかばんだと思いました。

でも誰か買ってくれるんやろうか…買ってもらえへんかったら傷つくんやろうな。頑張って作ったもんな。
いやいや、それも経験やから、大丈夫!でもなぁー…
とまたまた勝手に心配していたのですが、フタを開ければなんとすぐに売れて、予約まで受けて、お店やさんの最中もせっせと縫い縫いしていました。(それもまたまたスタッフさんにお願いして手伝ってもらいながら笑)

感想を聞いたら楽しかった!かばんが売れて嬉しかった!とのこと
自分が作り出したものを誰かが喜んで使ってくれる喜びを満タンに感じている様子でした。
渾身の1枚が売れた時、その場にいたたくさんの仲間が共にワッと喜んでくれた瞬間、皆んなが自分事として共にいてくれたことが伝わってきてとても心が暖かくなりました。
周りを見渡せばそれぞれの子ども達のそれぞれのストーリーが溢れていて、自信満々にそこに在る姿が愛しくて眩しくて、本当に暖かい場所でした。
帰りの車で、「縫い物苦手なのに最後までやりきってすごいと思った。なんでかばん最後まで作れたん?」と聞くと、「諦めたくなかったから」とのこと。
え!むちゃくちゃカッコイイやん!
これって、今まで色々途中で諦めたり、逃げたりもむちゃくちゃしてきて、その後の残念な気持ちとか、未消化感と、目標を達成したときの喜びとか、失敗も含めて色んな経験をたくさんさせてもらったからこそ、自分の中から芽生えてきた本物の気持ちやなーと思ったし、本物の気持ちの力って疑いがなくて信じきって進むエネルギーになるんやなと見せてもらいました。

でも次のお店やさんごっこはかばん屋さんはしないそうです笑
お疲れ様でした。ありがとう。

 

年長保護者 はるぴん

 


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